贈与契約書とは?作成する4つのメリットと必要性を解説

- 贈与契約は口頭でも成立する(民法第549条)が、契約書の作成は強く推奨される。
- 贈与税の基礎控除は年間110万円で、それ以下なら申告義務はない。
- 契約書がないと税務調査で「名義預金」と疑われるリスクがある。
- 記載すべき必須事項は、日付・当事者の氏名・贈与の内容・贈与方法・財産の特定情報の5つ。
- 贈与契約書は2通作成し、双方が署名・捺印して各自保管する。
贈与契約書の結論

贈与契約書は、贈与が確かに行われた事実を客観的に残すための書類です。作らなくても贈与そのものは成立します。
ただ、私が取材した司法書士は口をそろえて「特に親子間こそ作るべき」と言います。お金が動いた記録があっても、それが贈与なのか、ただ預けただけなのか、第三者には区別がつかないからです。
民法第549条は、贈与を「当事者の一方が無償で財産を相手に与える意思を示し、相手が受諾することで成立する」と定めています。つまり合意さえあれば口約束でも契約は成立します。
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贈与契約書の作成を依頼できる専門家は、司法書士・税理士・行政書士など複数あります。財産の種類によって適した専門家が変わります。

正直に言うと、現金だけの少額贈与なら自分で書いても十分です。私が親と交わした現金贈与の契約書も、ひな形を参考に自作しました。一方、不動産が絡むなら登記が必要になるので、司法書士に任せた方が安全です。
| 贈与する財産 | 主な相談先 | 理由 |
|---|---|---|
| 現金(少額) | 自作でも可/行政書士 | 書式が単純で記載項目が少ない |
| 不動産 | 司法書士 | 名義変更(登記)の手続きが必要 |
| 株式 | 税理士・司法書士 | 評価額の算定や税務の判断が絡む |
1.贈与契約書とは?作成する必要性と目的
贈与契約書とは、誰が誰に何をいつ贈与したかを記録し、贈与の履行を客観的に証明する書類です。
作成する最大の目的は、税務上の実態を示すこと。チェスター税理士法人の解説でも、贈与契約書は贈与の内容を記録し、履行があったことを証明するためのものと説明されています。
私が相続相談の窓口にいた頃、一番多かったトラブルが「親の口座から子へ移したお金が贈与と認められなかった」ケースでした。記録がなければ、税務署は贈与と見なしてくれません。
2.贈与契約書を作成する4つのメリット

贈与契約書を作る効果は大きく4つに整理できます。相続トラブルの防止、履行の証拠、税務調査対策、そして不動産登記の円滑化です。
このうち私が最も実感したのは、税務調査対策としての価値です。詳しくは次の各項目で説明します。
2-1.遺産相続トラブルを防止できる
贈与契約書は、相続発生後に「言った・言わない」の争いを防ぎます。

親が生前に特定の子へ財産を渡していた場合、他の相続人から不公平だと反発が出ることがあります。契約書があれば、何を誰にいつ渡したかが明確になり、無用な疑いを避けられます。
2-2.贈与が履行された証拠になる
契約書は、贈与が実際に行われたことを示す客観的な証拠になります。
前述のとおり、書面によらない贈与は贈与者が任意に解除できます(民法第550条)。逆に言えば、書面にしておけば「あの約束はなかったことに」と一方的に覆される心配が減ります。もらう側の権利を守る盾にもなるわけです。
2-3.贈与税や相続税の税務調査対策になる

贈与契約書は、税務調査で「名義預金ではないか」という指摘に反論する材料になります。
名義預金とは、口座の名義は子でも実質的な所有者は親、と税務署に判断されるお金のことです。これは特に親子間贈与で疑われやすい。オフィスツリーの解説でも、契約書がない場合は名義預金と指摘されるリスクがあると述べられています。
贈与税の基礎控除は年間110万円。これ以下なら申告義務はありませんが、申告していないからこそ、贈与の証拠が後で必要になります。
2-4.不動産登記(名義変更)がスムーズになる
不動産を贈与する場合、契約書があると名義変更(登記)の手続きがスムーズに進みます。

登記の際には贈与の事実を示す書類が求められます。不動産は所在地や地番など特定情報が多く、口頭の合意だけでは到底足りません。司法書士に依頼するなら、契約書は前提と考えてよいでしょう。
3.贈与契約書の作成手順
贈与契約書は、内容の確認・合意・2通作成・各自保管という4ステップで完成します。
特別な順番ではありませんが、現金贈与で私が実際に踏んだ流れもこの通りでした。以下、最初の2ステップを具体的に見ていきます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| STEP① | 贈与する側・される側が内容を確認する |
| STEP② | 贈与する日付や内容に合意する |
| STEP③ | 贈与契約書を2通作成する |
| STEP④ | 双方で署名・捺印し各自が1通ずつ保管する |
STEP①贈与する側・される側が内容を確認する

最初に、贈与する側ともらう側の双方で贈与の内容をすり合わせます。
贈与は双方の合意があって初めて成立します(民法第549条)。片方が勝手に決めて口座に振り込んでも、もらう側がそれを認識していなければ、後で「知らなかった」と言われかねません。何を、いくら、どう渡すかをこの段階で固めます。
STEP②贈与する日付や内容に合意する
次に、贈与の日付と内容を具体的に決めて合意します。

契約書に記載すべき必須事項は5つあります。贈与の日付、贈与者と受贈者の氏名、贈与の内容、贈与方法、財産の特定情報です。現金なら「銀行振込」と方法まで書き、振込記録を残すのが鉄則です。
金額は端数まで正確に。「100万円ほど」のような曖昧な書き方は避けます。数字がぼやけると、それだけで証拠としての力が落ちます。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 贈与の日付 | 令和7年4月1日 |
| 贈与者・受贈者の氏名 | 贈与者 中村太郎 / 受贈者 中村花子 |
| 贈与の内容 | 現金100万円 |
| 贈与方法 | 贈与者名義の口座から受贈者名義の口座へ振込 |
| 財産の特定情報 | 不動産なら所在地・地番、株式なら銘柄・株数 |
よくある質問
贈与契約書について、相談窓口でよく受けた質問をまとめます。
