生前贈与のやり方を6ステップで解説|自分でできる手続きの全手順

- 生前贈与は「贈与する側」と「受け取る側」双方の合意で成立する契約である。
- 暦年課税では年間110万円までの贈与は基礎控除内で贈与税がかからない。
- 贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで。
- 現金の生前贈与は契約書を交わして口座へ振り込むだけで完結することが多い。
- 不動産の生前贈与では登録免許税・不動産取得税が別途かかる。
所要時間の目安は、現金贈与なら契約書作成から振込まで半日。不動産になると登記が絡むので、書類集めを含めて数週間みておくと安心です。
難易度は、現金は「初心者でも自分でできる」、不動産は「専門家に頼んだほうが早い」。私自身、親の相続準備で現金贈与は自分で進めましたが、不動産は司法書士にお願いしました。
生前贈与 やり方の結論

生前贈与のやり方は、5つのステップを順番にこなすだけです。
具体的には、(1)誰に何を渡すか決める、(2)暦年課税か相続時精算課税かを選ぶ、(3)受け取る人の合意を得て贈与契約書を作る、(4)財産を実際に移す、(5)必要なら贈与税を申告する、という流れになります。
この順序は、信託銀行や相続専門サイトの解説でもほぼ共通しています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券も、贈与は双方の合意が必要で実務上は贈与契約書を作成すると説明しています。
1. 自分でできる生前贈与の手続きの方法
現金の生前贈与なら、専門家に頼まず自分で完結できます。

国税庁によれば、贈与は当事者の一方が財産を無償で相手に与え、相手が受諾することで成立します。つまり「あげる人」と「もらう人」の合意があれば、それだけで法律上は成立する契約です。
以下の1-1から1-6で、その流れを1ステップずつ分解します。現金だけの人は1-5まで、不動産がある人は1-6まで進んでください。
1-1. 誰に・何を・どんな目的で贈与するのかを決める
最初にやることは、贈与の「相手」「財産」「目的」をはっきりさせることです。
たとえば「長男に教育資金として現金を」「妻に居住用の不動産を」というように、3点をセットで言葉にしてみてください。ここが曖昧だと、後の契約書も税金の判断もぶれます。
ここまでできていれば正しい目安:紙に「誰に・何を・なぜ」を一行で書き出せていればOKです。
つまずきやすいのは、特定の人に確実に財産を残したいのに口頭で済ませてしまうこと。生前贈与は、相続と違って自分の意思で渡す相手を選べるのが利点です。その利点を活かすなら、相手を具体的に決めましょう。
1-2. 贈与税の課税方法を選択する

贈与税の課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つから選びます。
暦年課税は、1年間(1月1日〜12月31日)に受けた財産の合計から110万円の基礎控除を差し引いて計算する方式です。年間110万円以下なら、原則として贈与税はかかりません。コツコツ少額を渡していく人に向いています。
一方の相続時精算課税は、累計2,500万円までの贈与について贈与時の贈与税を課さず、相続のときにまとめて精算する制度です。まとまった額を一度に渡したいときに使われます。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 控除の枠 | 年110万円の基礎控除 | 累計2,500万円の特別控除 |
| 向いている人 | 毎年コツコツ渡したい人 | まとまった額を一度に渡したい人 |
| 相続時の扱い | 相続開始前一定期間の贈与は相続財産に加算されうる | 贈与分を相続財産に加算して精算 |
相続時精算課税は、一定年齢以上の父母・祖父母などから、一定年齢以上の子・孫などへの贈与で選べます。ただし年齢要件は法改正の影響を受けるため、選ぶ前に最新の国税庁案内で必ず確認してください。
1-3. 受贈者の合意をとり、贈与契約書を作成する
贈与は双方の合意で成立するので、受け取る人の同意を得て贈与契約書を作ります。

贈与は契約です。あげる人の一方的な意思だけでは成立しません。実務では、合意の証拠として贈与契約書を作成するのが一般的だと、不動産系メディアのVORTEXも解説しています。
契約書に最低限入れる項目は次の通りです。
- 贈与する人(贈与者)と受け取る人(受贈者)の氏名・住所。
- 何を贈与するか(現金なら金額、不動産なら所在・地番など)。
- いつ贈与するか(贈与の日付)。
- 双方の署名・押印。
ここまでできていれば正しい目安:双方が署名押印した契約書が1通あり、内容を読み返して「誰が・誰に・何を・いつ」が全部書けていれば合格です。
正直に言うと、ここを省く人がいちばん多い。私が取材した司法書士も「契約書がないせいで、税務署に贈与と認められず揉めるケースをよく見る」と話していました。面倒でも一枚作っておくべきです。
1-4. 贈与する財産を移す
契約書を作ったら、実際に財産を相手に移します。
現金なら、受贈者本人の口座へ振り込むのが確実です。手渡しより、いつ・いくら動いたかが記録に残る振込のほうが、後の証拠として強い。私も親からの贈与は、あえて振込で受けました。
不動産なら、法務局で名義変更(所有権移転登記)をします。登記をしないと、対外的に「自分のもの」と主張できません。
ここまでできていれば正しい目安:現金なら受贈者の通帳に入金記録が残っている、不動産なら登記簿の名義が変わっていれば完了です。
1-5. 贈与税の申告を行う

贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに行います。
暦年課税で年間110万円以下なら、原則として申告は不要です。一方、相続時精算課税を選ぶ場合は、たとえ税額がゼロでも届出と申告が必要になります。ここを忘れると制度が使えなくなるので注意してください。
申告は、受贈者の住所地を管轄する税務署に提出します。
ここまでできていれば正しい目安:3月15日までに、必要な人は申告書を提出し、納税まで終わっていれば完了です。
うまくいかないとき:自分のケースで申告が要るのか迷ったら、税務署の窓口か税理士に確認を。期限を過ぎると加算税の対象になるので、判断に迷うくらいなら早めに聞くのが得策です。
1-6. 不動産取得税を納付する(不動産の生前贈与の場合)
不動産を贈与で受け取った場合は、贈与税とは別に不動産取得税の納付が発生します。

VORTEXの解説でも、不動産の生前贈与では名義変更に伴う登録免許税と、取得に伴う不動産取得税が問題になると指摘されています。
登録免許税は登記のときに、不動産取得税は取得後しばらくして都道府県から送られてくる納税通知書で納めます。届くまで数か月かかることもあるので、忘れたころに来ても慌てないように。
ここまでできていれば正しい目安:登記時に登録免許税を払い、後日届く不動産取得税の通知書で納付すれば完了です。
2. 生前贈与の手続きに必要な費用、税金はどれくらい?
費用は「現金だけ」か「不動産を含む」かで大きく変わります。
現金の贈与は、自分でやれば実費はほぼゼロ。一方、不動産が絡むと税金と専門家報酬がかかります。次の2-1と2-2で分けて見ていきます。
| 対象 | かかる主なもの |
|---|---|
| 現金 | 贈与税(暦年なら年110万円超の部分)/申告にかかる手間 |
| 不動産 | 贈与税/登録免許税(登記時)/不動産取得税/司法書士などの報酬 |
2-1. 現金を生前贈与する場合

現金の生前贈与は、暦年課税で年110万円以内に収めれば贈与税はかかりません。
前述の国税庁の説明どおり、贈与税は1年間に受けた財産の合計から110万円を引いて計算します。年110万円以下なら課税対象外で、申告も原則不要です。
自分で契約書を作り、振込で渡せば、現金贈与にかかる実費は基本的にありません。ここが現金贈与の手軽さです。
ただし、毎年同じ額を同じ時期に機械的に渡し続けると、最初からまとまった額を贈与する約束だったとみなされる懸念があります。毎年その都度、契約書を作り直すのが無難です。
2-2. 不動産を生前贈与する場合
不動産の生前贈与では、贈与税に加えて登録免許税と不動産取得税がかかります。

登録免許税は名義変更(登記)のときに、不動産取得税は取得後に都道府県へ納めます。さらに登記を司法書士に頼めば報酬も加わります。
正直、不動産は自分でやるとつまずきやすい分野です。登記書類の不備で何度も法務局に足を運ぶより、私は専門家に任せたほうが結果的に安く早いと考えています。費用の具体額は物件の評価額で変わるので、見積もりを取って判断してください。
よくある質問
よくある質問
最後にひとつ。生前贈与で揉めないコツは、税金の計算より「合意の証拠を残すこと」に尽きます。今日できる第一歩は、贈与契約書のひな形を用意して、渡す相手と一度話してみることです。
