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生前贈与の基礎知識・やり方

子供への生前贈与で注意すべき3つのリスクと対策を解説

中村 恵子 / 更新:2026-06-24
子供への生前贈与で注意すべき3つのリスクと対策を解説
子供に生前贈与したいけれど、税金で損したり後で税務署にひっくり返されたりしないか不安——そんな相談を、私は相続相談の窓口で何度も受けてきました。結論から言うと、子供への生前贈与は年間110万円の非課税枠を正しく使い、贈与契約書と振込記録を残し、相続開始前7年の加算ルールを頭に入れておけば、ほとんどの落とし穴は避けられます。
  • 受贈者1人につき年間110万円までの贈与は非課税で、申告も不要。
  • 父と母から110万円ずつなら子供は年220万円受け取れるが、子供1人で見ると110万円超は課税対象になる。
  • 幼い子の名義口座にお金を入れるだけでは「名義預金」とされ、相続税の対象になる。
  • 2027年以降の相続から、相続開始前の加算期間が3年から段階的に7年へ延長される。
  • 教育資金は1,500万円、結婚・子育て資金は1,000万円まで非課税の特例がある。

生前贈与 子供 注意点の結論

失敗事例が多数…絶対にやってはいけない生前贈与を税理士がわかりやすく解説!
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子供への生前贈与で最優先すべき注意点は、「もらった証拠を残すこと」と「加算ルールを織り込むこと」の2つです。

私が窓口で見てきた失敗のほとんどは、税率や控除額の計算ミスではありませんでした。お金は動いているのに「贈与した証拠がない」ケースです。

年間110万円以下なら贈与税はかからず申告も不要、というのは事実です。ただし、それは正しく「贈与」が成立していればの話。証拠がなければ非課税どころか相続財産に戻されます。

贈与は「あげた・もらった」というお互いの意思が成立して初めて認められます。子供が知らない口座にお金を積み立てただけでは、税務署に贈与と認められません。

3-1.暦年課税の仕組み

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与の合計から110万円を引いた金額に贈与税がかかる、最も基本的な課税方式です。

3-1.暦年課税の仕組み

この110万円は「基礎控除額」と呼ばれ、受贈者(もらう人)1人ごとに使えます。だからこそ、子供が複数人いれば、その人数分の非課税枠が生まれます。

ここで勘違いしやすいのが「あげる側」と「もらう側」の数え方です。父と母がそれぞれ110万円を同じ子供に渡すと、子供の側では年220万円。110万円を超えた110万円が課税対象になります。

110万円の枠は「もらう人ごと」。子供3人なら年330万円まで非課税で渡せますが、子供1人に父母から220万円渡すと半分は課税対象です。

3-2.贈与税の計算方法

贈与税は「その年に受け取った贈与の合計額」から110万円を差し引き、残った金額に税率をかけて計算します。

課税対象となるのはあくまで110万円を超えた部分だけです。仮に子供が1年で200万円受け取った場合、課税されるのは90万円分。200万円すべてに税金がかかるわけではありません。

具体的な税率や速算表は国税庁が公表していますが、本記事では確認済みの数値以外は載せません。正確な税率は申告前に税理士か国税庁の最新情報で確認してください。

贈与税がかかるかどうかの判定例
受贈者(子供1人)が1年間に受け取った合計額で判定
子供が1年で受け取った額基礎控除後の課税対象申告
100万円0円不要
110万円0円不要
200万円(父母から100万円ずつ)90万円必要

贈与額が110万円を超えた場合、もらった子供は翌年の2月1日から3月15日までに、住所地の税務署へ申告と納税を行います。

3-3.「毎年110万円以上」で注意すべき点

贈与の非課税の注意点について解説。生前贈与で贈与をお考えの方へ。ひな形、サンプルもあります【やなぎ法律部】
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毎年110万円ぴったりや、それを少し超える贈与を続けるときは、「定期贈与」「名義預金」「相続前の加算」という3つのリスクを同時に意識する必要があります。

非課税枠を使い切ろうと毎年同じ金額を機械的に渡すと、かえって税務署に目をつけられることがあります。正直に言うと、ここを軽く見て後で痛い目にあう人が一番多い。

次の3つの章で、それぞれのリスクを具体的に分解していきます。

3-3-1.意図的に定期贈与とみなされるリスク

定期贈与とは、「毎年100万円を10年間渡す」といった約束を最初に交わしたとみなされ、総額にまとめて贈与税がかかってしまう扱いのことです。

3-3-1.意図的に定期贈与とみなされるリスク

たとえば毎年110万円を10年続けると、「最初から1,100万円を分割で贈与する約束だった」と判断されるおそれがあります。そうなると1年ごとの非課税枠は使えません。

対策はシンプルで、贈与のたびに金額や時期を変え、その都度あらためて贈与契約書を作ることです。私は窓口で「毎年同じ日に同じ額はやめましょう」と必ず伝えていました。

贈与は「毎年その都度決めた」という形を残すのが安全。金額・時期をずらし、年ごとに契約書を交わすと定期贈与とみなされにくくなります。

3-3-2.名義預金とみなされるリスク

名義預金とは、口座の名義は子供でも、実際の管理や入金を親が行っているお金のことで、これは贈与とは認められず相続財産になります。

特に幼い子供を受贈者にする場合が要注意です。親権者が代わりに承諾しても、子供本人の「もらった」という意思が確認できないと、贈与そのものが否認されます。

通帳や印鑑を親が握ったまま、子供がその口座の存在すら知らない——これが典型的な名義預金です。現金の手渡しも証拠が残らずNG。必ず子供名義の口座へ振り込み、記録を残してください。

子供名義の口座でも、通帳・印鑑・キャッシュカードを親が管理していると名義預金とされます。口座の管理は受け取った子供本人に渡すのが原則です。

3-3-3.亡くなる前7年間の贈与は相続財産に加算されるリスク

【必見】名義預金で子供に資産を遺している方、超危険です。誰でもできる相続税対策を税理士が解説!
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相続開始前の一定期間に行われた生前贈与は、相続財産に足し戻されて相続税の対象になります。この期間が、2027年以降の相続から3年から7年へと延びます。

現在の原則は「相続開始前3年以内」の贈与が加算対象です。これが2027年(令和9年)以降の相続から段階的に延長され、最終的に7年になります。

延長された4年分(3年超〜7年以内)の贈与については、合計額から100万円を控除できる緩和措置が設けられています。とはいえ、相続が近づいてからの駆け込み贈与は効果が薄い、というのが実務の感覚です。

生前贈与で相続税を減らしたいなら、早く始めるほど有利。亡くなる直前の贈与は相続財産に戻され、節税効果がほぼ消えます。

4-1.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、まとまった額を贈与税を抑えて子供に渡せる代わりに、その分を相続時に必ず精算する選択制の制度です。

4-1.相続時精算課税制度

暦年課税とは別の仕組みで、一度選ぶと同じ贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。ここが最大の注意点です。

大きな財産を早めに子へ移したい人には向きますが、「節税」というより「移すタイミングを選ぶ」制度だと理解しておくと判断を誤りません。

4-1-1.仕組み

相続時精算課税は、贈与時にはまとまった額まで贈与税を抑えられる一方、贈与した財産を相続時に相続財産へ加算して相続税を計算する制度です。

つまり、贈与した時点で課税が「終わる」のではなく、相続のときに改めて精算します。先送りに近い性格の制度です。

一度この制度を選ぶと、その贈与者からの贈与には毎年110万円の暦年課税の非課税枠が使えなくなる点には、特に注意してください。

4-1-2.注意点

【子供への贈与】赤ちゃん・幼児・未成年者への贈与は可能か?/孫への贈与は?名義預金と認定されないためには
【子供への贈与】赤ちゃん・幼児・未成年者への贈与は可能か?/孫への贈与は?名義預金と認定されないためには

相続時精算課税の最大の注意点は、選択すると暦年課税に戻せず、コツコツ110万円ずつ渡す節税が使えなくなることです。

将来値上がりが見込まれる財産を早めに移したいときには相性が良い一方、毎年少額を長く渡したい家庭には向きません。

私が相談を受けるなら、「どちらが得か」は財産の種類と渡したい期間で変わると伝えます。安易に飛びつかず、税理士に試算してもらうのが安全です。

相続時精算課税は一度選ぶと撤回できません。暦年課税の110万円枠を捨てる覚悟で選ぶ制度だと考えてください。

4-2.教育資金の一括贈与の特例

教育資金の一括贈与の特例は、子や孫1人につき1,500万円までの教育資金を、まとめて贈与しても非課税にできる制度です。

4-2.教育資金の一括贈与の特例

通常、入学金や授業料をその都度払う分には贈与税はかかりませんが、この特例は「将来の分も一括で先に渡せる」点が違います。すぐ使わなくても適用されます。

ただし、使い道は教育費に限られ、専用口座での管理や領収書の提出が必要です。目的外に使った残額には贈与税がかかります。

子供向けの主な贈与税非課税特例
確認済みの非課税限度額。適用要件は各制度で異なる
特例非課税限度額主な対象
教育資金の一括贈与1,500万円子・孫1人につき
結婚・子育て資金の一括贈与1,000万円(結婚分は300万円)18歳以上50歳未満の子・孫
住宅取得等資金の贈与特例あり住宅取得資金

結婚・子育て資金の一括贈与は18歳以上50歳未満の子・孫が対象で、1,000万円まで(結婚に関する資金だけなら300万円まで)が非課税。適用期限は2027年3月31日までです。

住宅取得等資金の贈与にも特例がありますが、利用すると「持ち家あり」とみなされ、相続のときに小規模宅地等の特例(いわゆる家なき子特例)が使えなくなる場合があります。住宅特例を使うなら、ここは必ず確認してください。

特例はどれも「非課税枠が大きい」分、使い道の制限や将来の相続への影響があります。目先の非課税だけで選ぶと、相続全体では損をすることもあります。

よくある質問

子供への生前贈与で、相談現場でも特によく聞かれる質問を3つ挙げます。

よくある質問

生前贈与 子供 注意点とは?
最大の注意点は、贈与の証拠を残すことと相続前の加算ルールです。年間110万円以下なら非課税ですが、子供名義の口座を親が管理していると名義預金とみなされ相続財産に戻されます。さらに2027年以降の相続からは、相続開始前7年間の贈与が相続財産に加算されます。
生前贈与 子供 注意点の費用は?
年間110万円以下の贈与なら贈与税はかからず、申告も不要です。110万円を超えた部分にだけ贈与税がかかり、もらった子供が翌年2月1日〜3月15日に申告・納税します。贈与契約書は自分で作れば費用はかかりませんが、税理士に相談する場合は別途報酬が必要です。
生前贈与 子供 注意点の始め方は?
まず子供名義の口座を用意し、贈与のたびに金額・日付・双方の意思を記した贈与契約書を作り、銀行振込で記録を残します。通帳や印鑑は子供本人が管理します。毎年同じ額・同じ日を避けると、定期贈与とみなされにくくなります。

最後にひとつだけ。多額の贈与を特定の子に偏らせると、ほかの相続人から遺留分侵害額請求というトラブルに発展しやすいです。なぜその子に贈与するのか、相続をどう考えているのかを、生前に家族へ伝えておく。これが税金対策以上に効く、いちばんの転ばぬ先の杖です。

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中村 恵子

元地方銀行員(相続相談窓口担当) ・ ファイナンシャルプランニング技能士2級

相続・不動産分野の取材を10年以上続けるフリーライター兼編集者。税理士や司法書士への直接取材と自身の親の相続経験をもとに、専門用語をかみ砕いて伝えることを信条としている。

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相続・不動産分野の取材を10年以上続けるフリーライター兼編集者。税理士や司法書士への直接取材と自身の親の相続経験をもとに、専門用語をかみ砕いて伝えることを信条としている。

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