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生前贈与の基礎知識・やり方

生前贈与の非課税限度額はいくら?仕組みと注意点を解説

中村 恵子 / 更新:2026-06-24
生前贈与の非課税限度額はいくら?仕組みと注意点を解説
親から「そろそろ財産のことを考えたい」と言われたとき、まず気になるのが「いくらまでなら税金がかからないのか」だと思います。結論を先に言うと、いちばん使われる暦年課税では受贈者1人あたり年間110万円までが非課税。これを軸に、目的に合った制度を足していくのが基本です。
  • 暦年課税では受贈者1人あたり年間110万円まで贈与税がかからない。
  • 相続時精算課税は累計2,500万円の特別控除に、2024年から年110万円の基礎控除が加わった。
  • 婚姻20年以上の夫婦間の居住用不動産は配偶者控除で2,000万円まで非課税になる。
  • 直系尊属からの住宅取得等資金は最大1,000万円(省エネ等住宅)まで非課税。
  • 2024年1月から、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に足し戻される。

生前贈与 非課税 限度額の結論

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非課税の限度額は「使う制度」で決まり、暦年課税なら受贈者1人あたり年間110万円が基準です。

私が相続相談の窓口にいた頃、いちばん多かった質問がこれでした。みんな「110万円」という数字は知っていても、それが誰を基準にした金額なのかで混乱します。

正確には、もらう人(受贈者)1人につき年間110万円まで。あげる人(贈与者)が何人いても、もらう側で合計されます。

主な制度と非課税の限度額
金額は各制度の控除・特別控除の上限。併用や要件は本文で解説。
制度非課税の限度額ポイント
暦年課税の基礎控除年間110万円(受贈者1人あたり)毎年使える。110万円以下なら申告不要
相続時精算課税累計2,500万円+年110万円2024年から年110万円の基礎控除が併存
配偶者控除(おしどり贈与)2,000万円婚姻20年以上。110万円と併用で2,110万円
住宅取得等資金500万円(省エネ等住宅1,000万円)直系尊属からの贈与。期限・要件あり
教育資金の一括贈与1,500万円学校等以外は500万円まで
結婚・子育て資金の一括贈与1,000万円学校等以外は500万円まで
110万円は「あげた人ごと」ではなく「もらった人ごと」の枠です。複数人からもらっても、受贈者側で合算して年間110万円を超えれば課税対象になります。

生前贈与とは?

生前贈与とは、財産を持つ人が生きているうちに、その財産を無償で別の人へ渡すことです。

生前贈与とは?

相続は亡くなってから自動的に発生しますが、生前贈与は本人の意思で「いつ・誰に・いくら」を選べます。ここが大きな違いです。

暦年課税の判定期間は1月1日から12月31日までの1年間。同じ受贈者への贈与はこの期間で合計して判断されます。

110万円以下なら税務署への申告は不要です。これは手間の面でも大きく、毎年コツコツ渡す人が多い理由でもあります。

生前贈与の注意点

最大の注意点は、2024年1月から相続開始前7年以内の贈与が相続財産に足し戻されることです。

つまり、亡くなる直前に慌てて贈与しても、その分は相続税の計算に戻されてしまいます。節税目的なら早く始めるほど有利、というのが正直なところです。

もう一つ、私が現場でよく見たのが「定期贈与」とみなされるケース。毎年同じ日に同じ額を贈ると、最初からまとまった額を贈る約束だったと判断され、まとめて課税されることがあります。

毎年贈与する場合は、その都度あらためて贈与契約書を作り、金額や時期を少し変えるなど「1回ごとの独立した贈与」であることを残しておくと安心です。

<よくあるトラブル:名義預金と相続税>

失敗事例が多数…絶対にやってはいけない生前贈与を税理士がわかりやすく解説!
失敗事例が多数…絶対にやってはいけない生前贈与を税理士がわかりやすく解説!

名義は子ども、でも実態は親が管理していた口座は「名義預金」とされ、贈与が成立していないと判断されます。

親が子ども名義の通帳を作り、子どもがその存在も知らずに親が入金し続けている。これは贈与ではなく、親の財産のまま。相続のときに相続財産として課税されます。

私の親の相続のときも、まさにこれが論点になりました。通帳と印鑑を親が握っていると、いくら名義が子どもでも贈与とは認められないのです。

贈与として成立させるには、もらった本人が口座を管理し、自由に使える状態にしておくこと。ここを甘く見ると、後で税務署に指摘されます。

贈与を受けたら贈与税の支払いが必要

受贈者1人あたり年間110万円を超えて贈与を受けた場合、超えた部分に贈与税がかかり、申告と納税が必要です。

贈与を受けたら贈与税の支払いが必要

贈与税を払うのは、あげた人ではなく、もらった人です。ここを勘違いする人が意外と多い。

同じ人への贈与は同一年内で合計して判定されます。3月に60万円、9月に60万円もらえば合計120万円となり、110万円を超えた10万円が課税対象です。

複数回に分けても、年間110万円を超えれば課税対象になる。この点は押さえておいてください。

生前贈与で税負担を軽減できる可能性がある場合

財産が相続税の基礎控除を超える見込みで、かつ早めに動ける場合に、生前贈与の節税効果は大きくなります。

暦年課税を使って毎年110万円ずつ贈与すれば、10年間で1,100万円を非課税で移転できます。受贈者が複数いれば、その分まとめて動かせます。

ただし前述のとおり、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に戻されます。だから「いつか考える」ではなく、元気なうちに始めるかどうかが効果を分けます。

逆に、財産が基礎控除の範囲内に収まりそうなら、無理に贈与で動かすメリットは小さい。私なら、まず相続税がかかるかどうかを試算してから判断します。

生前贈与のメリット

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生前贈与の最大のメリットは、財産を渡す相手・タイミング・金額を自分の意思で決められることです。

相続は法律で配分の目安が決まりますが、生前贈与なら「この子に、今、これを」と選べます。お金が必要な時期に必要な人へ渡せるのは、相続にはない強みです。

加えて、暦年課税で毎年110万円ずつ移していけば、将来の相続財産を少しずつ減らせます。結果として相続税の負担を軽くできる可能性があります。

贈与する相手とタイミングを選べる

生前贈与は、孫の進学や子の住宅購入など「お金が必要な瞬間」に合わせて渡せるのが利点です。

贈与する相手とタイミングを選べる

相続だと、お金が一番ほしい若い時期には間に合わないことが多い。贈与なら、進学費用や住宅資金として、必要なタイミングで届けられます。

住宅取得等資金の特例なら、直系尊属からの贈与が省エネ等住宅で最大1,000万円まで非課税。要件はありますが、こうした「使い道に合わせた枠」があるのは贈与ならではです。

相続時のトラブルを回避できる可能性がある

生前に意思を示して財産を渡しておくことで、相続発生後の「言った・言わない」の争いを減らせます。

ただし、ここは正直に言うと両面あります。特定の子だけに多く贈与すると、ほかの相続人から「もらいすぎだ」と反発が出ることもある。

生前贈与は遺留分や特別受益の問題ともつながります。トラブルを避けるための贈与が、新たな火種になることもある。だから渡し方には配慮が要ります。

特定の人への大きな贈与は、相続時に「特別受益」として遺産に持ち戻されることがあります。他の相続人の理解を得ながら進めるのが、結局いちばんの近道です。

贈与税の負担を軽減できる制度がある

【220万円非課税へ】生前贈与の大改正で年間220万円まで非課税で贈与が可能に!暦年贈与と相続時精算課税制度の併用で誕生
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贈与税には暦年課税以外にも、目的別の非課税制度が複数あり、組み合わせると大きな額を非課税で渡せます。

たとえば相続時精算課税は、2024年の改正で年110万円の基礎控除が新設されました。累計2,500万円の特別控除とこの基礎控除が併存します。

配偶者控除(おしどり贈与)は、婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産を2,000万円まで非課税にでき、暦年の110万円と併用すれば2,110万円まで動かせます。

贈与税の負担を軽減できる制度

代表的な非課税制度は、目的と相手によって使い分けるのが基本です。

贈与税の負担を軽減できる制度

下の表に、主な制度の限度額と特徴を整理しました。どれも要件があるので、使う前に最新の条件を必ず確認してください。

贈与税の負担を軽減できる主な制度
期限・要件は変わることがあるため、利用前に国税庁の最新情報を確認すること。
制度限度額主な条件
暦年課税の基礎控除年110万円受贈者1人あたり。110万円以下は申告不要
相続時精算課税累計2,500万円+年110万円2024年改正で基礎控除が併存
配偶者控除(おしどり贈与)2,000万円婚姻20年以上の夫婦間の居住用不動産
住宅取得等資金500万円(省エネ等住宅1,000万円)直系尊属から。受贈者は1月1日時点18歳以上、合計所得2,000万円以下
教育資金の一括贈与1,500万円学校等以外は500万円まで。適用期限あり
結婚・子育て資金の一括贈与1,000万円受贈者18歳以上50歳未満。学校等以外は500万円まで

住宅取得等資金の特例は、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与が対象。受贈者は贈与を受けた年の1月1日に18歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です(床面積40㎡以上50㎡未満には別基準あり)。

私なら、まず暦年課税で土台を作りつつ、住宅や教育など「目的がはっきりした出費」に合わせて該当制度を上乗せします。制度を欲張って併用しすぎると要件管理が大変なので、そこは見極めが要ります。

よくある質問

よくある質問

生前贈与 非課税 限度額とは?
使う制度で決まりますが、もっとも基本となる暦年課税では受贈者1人あたり年間110万円までが贈与税の基礎控除で、原則として贈与税はかかりません。判定期間は1月1日から12月31日の1年間です。
生前贈与 非課税 限度額の費用は?
110万円以下の暦年贈与なら贈与税はかからず、税務署への申告も不要なので税負担はありません。110万円を超えた部分や、相続時精算課税・各種特例を使う場合は申告が必要です。専門家に依頼する場合はその報酬が別途かかります。
生前贈与 非課税 限度額の始め方は?
まず相続税がかかる規模かを試算し、誰にいくら渡すかを決めます。暦年課税なら贈与契約書を作り、もらう人が管理する口座へ振り込むのが基本です。相続時精算課税や特例を使うときは、要件を確認したうえで期限内に贈与税の申告を行います。

最後にひとつだけ。制度の数字を覚えるより、「相続税がかかるのか」を先に確かめるのが、遠回りのようでいちばん早い。試算してから、必要な制度だけを選んでください。

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中村 恵子

元地方銀行員(相続相談窓口担当) ・ ファイナンシャルプランニング技能士2級

相続・不動産分野の取材を10年以上続けるフリーライター兼編集者。税理士や司法書士への直接取材と自身の親の相続経験をもとに、専門用語をかみ砕いて伝えることを信条としている。

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