孫への生前贈与で贈与税を非課税にする4つの方法と相続税対策

- 贈与税の基礎控除は年110万円で、これ以下なら原則として贈与税はかからない。
- 相続財産を取得しない孫は、原則として生前贈与加算(持ち戻し)の対象外。
- 2024年1月以後の贈与は、加算対象期間が段階的に7年へ延長された。
- 相続時精算課税は祖父母(60歳以上)から孫(18歳以上)への贈与でも使え、累計2,500万円まで特別控除がある。
- 孫が代襲相続人になる場合や遺贈を受ける場合は、孫でも持ち戻しの対象になる。
生前贈与 孫 贈与税の結論

孫への生前贈与は、年110万円以下なら贈与税ゼロで、相続税の節税効果も子より大きく出やすい方法です。
理由はシンプルです。贈与税の基礎控除は1年間(1月1日〜12月31日)で110万円。これ以下なら贈与税はかかりません。
さらに大事なのが、孫は原則として相続財産を取得しないため、相続開始前の贈与を相続財産に足し戻す「生前贈与加算」の対象にならない、という点です。
正直に言うと、私が親の相続を経験したとき、この「孫を経由するルート」を知っていればもっと身軽にできたと思いました。子に渡すと加算の対象、孫なら原則対象外。同じ金額でも結果が変わります。
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孫への生前贈与は制度の組み合わせで結果が大きく変わるため、複雑なケースは相続に強い税理士への相談が確実です。

この記事では一般的な制度を整理しますが、代襲相続や遺贈がからむと判断が一気に難しくなります。私の取材経験でも、自己流で進めて後から加算対象だと判明したケースが少なくありません。
金額が大きい、相続人が複数いる、遺言を併用する——こうした場合は、最初に専門家へ相談したほうが結局は早くて安全です。
1.孫へ生前贈与は相続税対策になる!4つのメリットとは
孫への生前贈与には、課税対象額の圧縮・税率の抑制・一代飛ばし・非課税特例の活用という4つのメリットがあります。
順に見ていきますが、ここで押さえてほしいのは「孫は子と税制上の扱いが違う」という前提です。これがすべてのメリットの土台になります。
1-1.相続税の課税対象額を減らせる

生前に財産を孫へ移すと、その分だけ将来の相続財産が減り、相続税の課税対象額が小さくなります。
たとえば毎年110万円を孫に贈れば、贈与税はかからず、その110万円は相続財産から外れていきます。
しかも前述のとおり、孫が相続財産を取得しなければ、この贈与は原則として相続財産に足し戻されません。子へ同じことをした場合との差はここに出ます。
1-2.相続税の税率を抑えられる可能性あり
課税対象となる財産が減ると、適用される相続税率の区分が下がり、税率自体を抑えられる場合があります。

相続税は財産が多いほど高い税率がかかる仕組みです。だから生前贈与で財産の山を低くしておくと、最上段の高い税率に届きにくくなります。
なお、孫が18歳以上で祖父母から贈与を受ける場合、暦年課税の贈与税では「特例税率」という低めの税率区分の対象になり得ます。
| 区分 | 適用される主なケース | 孫への贈与での扱い |
|---|---|---|
| 一般税率 | 上記以外の贈与 | 18歳未満の孫への贈与など |
| 特例税率 | 18歳以上が直系尊属から受けた贈与 | 18歳以上の孫が祖父母から受ける贈与 |
1-3.相続税の課税を一代飛ばせる
祖父母から孫へ直接贈与すると、本来「祖父母→子→孫」と二回かかるはずの課税を一回飛ばせます。
財産が子を経由するたびに相続税がかかるのが通常の流れです。孫へ直接渡せば、子の代の課税を一度パスして次世代へ財産を移せます。
私が取材した司法書士も「教育費がかかる孫世代に、課税を挟まず届けられるのが大きい」と話していました。世代をまたぐ資産移転として、これは無視できない効果です。
1-4.贈与税を非課税にできる方法が多い

孫への贈与は、暦年課税の年110万円に加えて、住宅・教育・結婚子育てといった非課税特例も併用できる点が強みです。
後の章で詳しく触れますが、選択肢が多いほど、孫のライフイベントに合わせて無税で渡せる金額の幅が広がります。
ただし、特例ごとに年齢や使途、申告の要件が細かく決まっています。使えるはずだったのに要件を外して課税された、という失敗は実際にあります。
2.孫への生前贈与のやり方!年間110万円以下の「暦年課税贈与」がおすすめ
まず取り組むなら、年110万円以下の暦年課税贈与が、贈与税ゼロで始められる最もシンプルな方法です。
暦年課税は、1年間に受けた贈与の合計から基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算する仕組みです。110万円以下なら原則として申告も納税も不要。
私がいつも勧めるのは、欲張らず110万円の枠内で、毎年こつこつ続けるやり方です。地味ですが、長く続けるほど効いてきます。
2-1.【ポイント】孫への生前贈与は3年~7年以内加算の適用なし
孫への暦年贈与は、相続財産を取得しない限り、相続開始前7年以内であっても持ち戻しの対象になりません。

生前贈与加算とは、亡くなる前の一定期間に行われた贈与を相続財産に足し戻して相続税を計算する仕組みです。2024年1月1日以後の贈与は、この対象期間が段階的に延長され、最終的に7年になります。
ただし、この加算は原則「相続または遺贈で財産を取得した人」が対象です。相続財産を取得しない孫は、その枠の外。だから子への贈与より節税面で有利になります。
3.孫への生前贈与は「相続時精算課税」の適用もおすすめ

まとまった額を一度に贈りたいなら、累計2,500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税が選択肢になります。
この制度は、贈与者が60歳以上、受贈者が18歳以上であれば、祖父母から孫への贈与でも使えます。特別控除は累計2,500万円。
ただし、名前のとおり「精算課税」です。贈与時に税金が消えるわけではなく、贈与者が亡くなったときに、その贈与財産を相続財産へ加算して相続税を計算します。
正直、私はこの制度を孫に使う場合は慎重派です。暦年贈与の「加算されない」メリットと違い、相続時精算課税で渡した分はあとで足し戻されます。一度に大きな額を移したい、値上がりが見込める財産を早く渡したい、といった目的がはっきりしているときに向きます。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 年110万円(基礎控除) | 累計2,500万円(特別控除) |
| 利用要件 | 特になし | 贈与者60歳以上・受贈者18歳以上 |
| 相続時の加算 | 孫は原則加算なし | 贈与分を相続財産に加算 |
| 向くケース | 毎年こつこつ渡す | まとまった額を一度に渡す |
4.孫への生前贈与は贈与税の非課税特例の適用も可能
孫へは、住宅取得等資金・教育資金の一括贈与・結婚子育て資金の一括贈与という非課税特例も活用できます。
これらは使途を限定する代わりに、まとまった金額を非課税で渡せる制度です。孫のライフイベントに合わせて選びます。
住宅取得等資金は、孫がマイホームを取得・新築・増改築する資金に。教育資金の一括贈与は、入学金や授業料などの教育費に。結婚・子育て資金の一括贈与は、結婚や出産・育児にかかる費用に充てる前提です。
ここで一つ実務的な注意を。そもそも、必要な都度わたす生活費や学費は贈与税がかかりません。孫の入学金をその都度ポンと出すだけなら、特例を使うまでもなく非課税です。
一括贈与の特例は「先に大きくまとめて渡したい」ときの選択肢。各特例は適用期限や上限額、使い残しの扱い、申告手続きが細かく定められているため、利用前に最新の要件を必ず確認してください。
孫へ生前贈与する際の注意点
孫への贈与で失敗しないコツは、契約書を残し、孫自身に管理させ、遺留分を侵さない範囲で行うことです。

私が相談窓口で見てきた典型的なつまずきを、注意点として整理します。
- 都度わたす生活費・学費は、そもそも非課税。特例を使うまでもないケースが多い。
- 贈与のたびに贈与契約書を作成し、「あげた・もらった」の合意を書面で残す。
- 毎回同じ額・同じ日に振り込むと、定期贈与とみなされて課税されるおそれがある。
- 通帳・印鑑は孫本人が管理し、贈与財産を実際に孫が使える状態にしておく。
- 110万円を超えたら贈与税の申告と納税を行う。
- 他の相続人の遺留分を侵害しない範囲内で行う。
よくある質問
孫への生前贈与でよく検索される疑問を、要点だけ先に答えます。
よくある質問
最後に、私からの率直な一言を。孫への贈与は「お金を移す作業」ではなく「記録を残す習慣」です。契約書を一枚ずつ重ねていくことが、何年かあとに一番効きます。今年の分から、まず一枚作ってみてください。
